「うちの子は運動神経が悪くて」「私に似て運動音痴で」。保護者の方からよく聞く言葉です。でも、「運動神経」とは具体的に何を指しているのでしょうか。
この記事では、速く走れる・ボールを捕れるといった結果の手前にある工程に目を向け、いわゆる運動神経の正体と、それをどう育てられるのかを解説します。
ボールを捕る、という動作を分解してみる
「ボールを捕る」というたった一つの動作も、実際には次の工程が一瞬のうちに進んでいます。
- 見る:ボールを目で捉える
- 注意する:周囲の情報の中からボールに注意を向け続ける
- 判断する:どこに落ちるかを予測し、手を出す位置とタイミングを決める
- 動く:決めたとおりに身体を動かす
ボールがうまく捕れない子を見ると、私たちはつい「手の出し方」や「身体の動かし方」を教えようとします。しかし、つまずいているのが1〜3の段階だとしたら、身体の動かし方をいくら練習しても結果は変わりません。REAXIONではこの一連の流れを認知運動(Cognitive Motor)と呼んでいます。
「運動神経がいい子」は何が違うのか
いわゆる運動神経がいい子は、筋力が特別に強いわけではありません。多くの場合、次のような特徴があります。
- ボールや相手の動きを目で追い続けられる(見る)
- まわりの状況から必要な情報を選べる(注意する)
- 次に何が起きるかを予測して、早めに動き出せる(判断する)
- 思ったとおりに身体を動かせる(動く)
つまり「運動神経」とは、目と脳と身体の連携の速さと正確さのことです。そしてこれは生まれつき固定されたものではなく、経験によって育つものです。
なぜ「身体の練習」だけでは伸びにくいのか
運動教室やスポーツ少年団では、フォームや身体の使い方の指導が中心になりがちです。もちろん大切ですが、これは4段階のうちの「動く」の部分だけを扱っています。
子どもや青少年を対象とした研究では、判断や記憶、ルールへの対応といった認知的な要素を取り入れた身体活動によって、不要な反応を抑える力や情報を一時的に保持する力などの実行機能が改善したことが報告されています(出典はエビデンスページをご参照ください)。「考えながら動く」経験そのものが、運動の土台を育てるのです。
家庭でできる「見る・判断する」を育てる遊び
1. 色を言われたらその色に触る
部屋の中で「赤!」と言われたら赤いものに触る。慣れてきたら「赤以外!」にすると、判断と抑制が入ります。道具は要りません。
2. 風船やボールの落下点を当てる
投げ上げた風船がどこに落ちるかを予測して移動する。ゆっくり落ちる風船から始めると、「見て予測する」練習になります。
3. 光ったらタッチ
光る機器を壁や床に置き、光った場所にタッチする遊びです。ルールが「光ったらタッチ」だけなので説明が要らず、「赤だけタッチ」「順番を覚えてタッチ」と段階的に難しくできます。REAXIONではREAXION KIDSとしてご家庭向けの使い方をまとめています。
4. じゃんけんの後出し
相手の手を見てから「負ける手」を出す。見て、判断して、動くの流れが短時間で繰り返されます。
関わり方のポイント
- 結果ではなく工程を見る:捕れなかったとき「見てた?」「どこに落ちると思った?」と、見る・判断するの段階に目を向ける声かけを
- 訓練だと思わせない:「もう一回!」が続く遊びの形が、いちばん回数を重ねられます
- できた回数を数える:「今日は10回できた」という数字は、子ども自身がいちばん喜びます
- 比べる相手は昨日の自分:きょうだいや友達との比較は、運動が苦手な子ほど意欲を下げます
まとめ
「運動神経」は、目と脳と身体の連携です。速く走る・ボールを捕るという結果の手前にある「見る」「判断する」に目を向けると、身体の練習だけでは変わらなかった部分が動き始めます。そしてそれは、遊びの中で育てられます。
関連記事:子どもの反射神経トレーニング/子どもの動体視力トレーニング。ご家庭向けの使い方はREAXION KIDS、製品はREAXION 4個セットをご覧ください。
※ REAXIONは医学的な診断・治療を目的とした製品ではありません。発達の状態や特性を判定するものではなく、活動内容を考えるための記録としてご活用ください。
