「子どもの神経系トレーニングを家でやってみたい」「コーディネーショントレーニングって何をすればいいの?」という保護者・指導者の方に向けて、子どもの神経系トレーニング(コーディネーショントレーニング)の考え方と、家庭・スクールでできる遊びメニューをまとめました。結論から言うと、特別な器具よりも「いろいろな動きを、合図や条件つきで、遊びとして繰り返す」ことが中心です。
子どもの神経系トレーニングとは|コーディネーショントレーニングとの関係
「神経系トレーニング」は、筋力や持久力を高めるのではなく、見たり聞いたりした情報に合わせて、身体を思いどおりに動かす力を育てる練習を指して使われることが多い言葉です。その代表的な方法がコーディネーショントレーニングで、運動能力を7つの要素に分けて考えるのが一般的です。
| 能力 | 内容 | 遊びでの例 |
|---|---|---|
| 反応 | 合図に素早く正しく動き出す | 「赤」と言われたら赤い物にタッチ |
| 定位 | 自分と周りの位置関係をつかむ | 鬼ごっこで鬼との距離を測って逃げる |
| 変換 | 状況の変化に合わせて動きを切り替える | 合図で走る方向を逆にする |
| 識別 | 手足や道具を細かく使い分ける | 大小のボールを投げ分ける |
| 連結 | 複数の動きをなめらかにつなげる | ケンケンパ、スキップしながら手を叩く |
| リズム | 動きのタイミングやテンポをつかむ | 手拍子に合わせてジャンプ |
| バランス | 姿勢を保つ・崩れても立て直す | 片足立ちでボールキャッチ |
実際の遊びでは、これらがひとつずつ独立して働くわけではありません。たとえばボールを捕る動作でも「見る」「落下点を予測する」「手を出す位置を決める」「身体を動かす」が一瞬のうちに進んでいます。この流れについては「運動神経がいい」の正体で詳しく紹介しています。
家庭・スクールでできる神経系トレーニングの遊びメニュー
道具がほとんど要らないメニューを中心に紹介します。どれも「合図」や「ルール」を加えると、身体を動かすだけでなく見て判断する要素が入ります。
| メニュー | 主な能力 | やり方 | 人数・道具 |
|---|---|---|---|
| 色タッチ | 反応・識別 | 部屋に色の違う物を置き、大人が言った色の物に素早くタッチ | 2人〜・身の回りの物 |
| 後出しじゃんけん | 反応・変換 | 大人が出した手に「勝つ」手を出す。慣れたら「負ける」手に切り替え | 2人〜・なし |
| 合図ダッシュ | 反応・変換 | 「右」「左」の声や手の向きでスタート方向を決める。逆の方向へ走るルールも | 2人〜・なし |
| ケンケンパ+お題 | 連結・リズム | ケンケンパをしながら、大人が言った数だけ手を叩く | 2人〜・輪や線 |
| 風船キャッチ | 定位・識別 | 風船を上に投げ、落ちてくるまでに手を1回叩いてからキャッチ | 1人〜・風船 |
| 片足キャッチ | バランス・識別 | 片足立ちのままボールを受ける。左右の足を入れ替える | 2人〜・柔らかいボール |
| 光ったらタッチ | 反応・定位・識別 | 光るデバイスを床や壁に並べ、光った所へタッチ。色の条件を足すと判断が入る | 1人〜・光刺激型の器具 |
はじめは成功しやすい条件から始め、できるようになったら「合図を速くする」「選択肢を増やす」「動きながら判断する」の順に難しくすると、飽きずに続けやすくなります。
年齢別の取り入れ方
幼児(3〜6歳)
走る・跳ぶ・転がる・投げるなど、動きの種類を増やすことが中心です。ルールは1つに絞り、「できた」が多くなるように大人が調整します。
小学校低学年〜中学年
いわゆるゴールデンエイジ前後の時期で、新しい動きを覚えやすいと言われています。ただし「今やらないと手遅れ」と考える必要はありません。鬼ごっこやボール遊びに、色や数字の条件を加えて判断を伴う遊びにしていくのがおすすめです。見る力の育て方はゴールデンエイジに伸ばしたい「見る力」も参考にしてください。
小学校高学年〜中学生
競技の動きに近い形で、「見て判断してから動く」練習を増やしていきます。少年団やスクールでは、ウォーミングアップの最初に5〜10分入れるだけでも取り入れやすくなります。
実施方法|続けるためのポイント
- 1回は10〜15分程度にとどめ、集中が切れる前に終わる
- メニューは2〜3種類を日替わりで組み合わせる
- 速さより正確さを先にほめる。慌てて間違えるより、正しく動けたことを評価する
- 勝ち負けを目立たせすぎない。自分の前回の記録と比べる形にすると、運動が苦手な子も参加しやすい
- 疲れている日・体調がよくない日は無理をしない
器具を使う場合は、ラダーやコーンなどの「動きを決める道具」と、光刺激型のような「判断を加える道具」で役割が異なります。違いはコーディネーショントレーニング器具の種類と選び方で整理しています。小さなお子様には、不規則に跳ねるボールを使うX-BALLから始める選び方もあります。
測定で見るポイント
子どもの変化は、毎日見ていると気づきにくいものです。同じ条件で、ときどき記録を取っておくと成長が見えやすくなります。
- 反応の速さ:合図から動き出すまでの時間が縮んでいるか
- 正確さ:色や方向の条件を間違えずに動けているか(速さとセットで見る)
- 左右差:右と左、どちらかの方向だけ遅れていないか
- 集中の続き方:後半になっても正答数が大きく落ちないか
REAXIONでは、光の位置と色を見て判断し、その場所へ動く課題を通じて、反応時間や正答数を記録できます。「見る→注意する→判断する→動く」を一続きで捉える考え方は認知運動(Cognitive Motor)とはで紹介しています。子ども向けの使い方はREAXION KIDS、教室や放課後等デイサービスなどでの活用は教育・発達支援での活用をご覧ください。
まとめ
子どもの神経系トレーニング(コーディネーショントレーニング)は、特別な練習というより「いろいろな動き」と「合図に合わせて判断する経験」を遊びで増やすことです。7つの能力を意識してメニューを選び、成功しやすい条件から少しずつ難しくしていくと、楽しみながら続けられます。記録を取って前回の自分と比べることで、子ども自身も変化を実感しやすくなります。
関連記事:「運動神経がいい」の正体|目と脳から始まる、子どもの運動能力の育て方/ゴールデンエイジに伸ばしたい「見る力」/コーディネーショントレーニング器具の種類と選び方。実機を試してみたい方は体験デモからお申し込みいただけます。
※ 本記事は運動あそび・トレーニングの一般的な情報です。REAXIONは医療機器ではなく、発達の診断や治療効果を保証するものではありません。発達について気になることがある場合は、医師や専門職にご相談ください。
