「ゴールデンエイジ」という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。一般に小学生の時期を指し、新しい動作を見て覚えるのが得意な時期として、スポーツ指導の現場でよく使われます。
ただ、この時期に語られるのは「動作」の習得が中心で、その手前にある「見る力」にはあまり目が向けられていません。この記事では、見る力とは何か、なぜこの時期に使っておきたいのか、家庭で何ができるかを保護者向けに解説します。
「見る力」は視力とは別のもの
視力検査で測るのは、止まったものをどれだけ細かく見分けられるかです。一方、運動や学習で使う「見る力」には、もっと多くの要素があります。
| 要素 | 内容 | 日常・運動での場面 |
|---|---|---|
| 眼球運動 | 目を滑らかに動かして対象を追う・跳ぶ | ボールを追う、黒板とノートを交互に見る |
| 周辺視野 | 視線の中心以外の情報を捉える | ドリブルしながら味方を見つける |
| 動体視力 | 動いているものを見分ける | 飛んでくるボールの回転を見る |
| 空間認知 | 位置・距離・奥行きを把握する | 落下点を予測する、リングまでの距離を掴む |
| 視覚と動作の連携 | 見た情報を身体の動きにつなげる | 見た場所に正確に手を出す |
これらの力は、視力が良くても育っているとは限りません。そして、ボールを捕る・避けるといった動作の得意・不得意に大きく関わっています(ビジョントレーニングとは)。
なぜこの時期に「見る力」を使っておきたいのか
小学生の時期は、多様な動きを経験することで運動の引き出しが増える時期です。ただし、動作を覚えるには、まず「見て」「判断して」から動く必要があります。見る力が使われていないと、どれだけ動作を練習しても「ボールを見ていない」「落下点を読めていない」状態のままです。
もう一つ、この時期の子どもは「遊び」の中でであれば圧倒的な回数を積み重ねられます。見る力を使う遊びを生活に取り入れるのに、最も適した時期と言えます。
家庭でできるビジョントレーニング
1. ものを目で追う(眼球運動)
ゆっくり動かす指やペンを、顔を動かさずに目だけで追う。上下・左右・斜め・円を描く。キャッチボールでボールを最後まで見ることも、この練習になります。
2. 周りを見る遊び(周辺視野)
正面の一点を見たまま、親が横で出した指の数を当てる。光る機器を左右に広く置いて、正面を見たまま光った側に反応する遊びも有効です。
3. 落下点を当てる(空間認知)
風船や柔らかいボールを投げ上げ、落ちる場所を予測して移動する。不規則にバウンドするリアクションボールを使うと、予測と反応の両方が必要になります。
4. 見て判断して動く(連携)
光った場所にタッチする、赤だけタッチする。見る・判断する・動くが一連の流れとして繰り返されます。ルールが単純なので、低学年でもすぐに取り組めます(REAXION KIDS)。
実施のポイント
- 1回5分で十分:長時間より、毎日少しずつ。顔を洗う、宿題の前など、生活の流れに組み込むと続きます
- 疲れたらやめる:目を使う遊びは意外と疲れます。集中が切れたら終えます
- できた回数を記録する:「今日は10回」という数字が、子ども自身の手応えになります
- スポーツと結びつける:「これができるとサッカーで味方が見つけやすくなる」という説明は、高学年の子の意欲につながります
まとめ
ゴールデンエイジは動作を覚えるのが得意な時期ですが、動作の手前には必ず「見る」と「判断する」があります。眼球運動・周辺視野・空間認知・視覚と動作の連携を、遊びの中で使う時間をつくることが、この時期の運動体験をより豊かにします。
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