フェンシングの一本は、ほんの一瞬で決まります。相手の剣先の動きを見ながら、同時に全身のモーションから次の動きを予測し、アタックかパラッドか、踏み込むか下がるかを決める。反応速度そのものが勝敗を分ける競技です。
この記事では、フェンシングで求められる「見る力」を局面ごとに整理し、練習メニューと測定で見るポイントを解説します。
局面ごとに求められる「見る力」
| 局面 | 使われる力 | 具体的には |
|---|---|---|
| 間合いの探り合い | 周辺視野、予測 | 剣先を見ながら、相手の足と腰の動きから踏み込みの予兆を読む |
| アタックへの対応 | 反応速度、判断 | 相手の初動を捉え、パラッドかカウンターか、下がるかを一瞬で選ぶ |
| フェイントへの対応 | 抑制 | 見せかけの動きに反応せず、本当の攻撃を待つ |
| 自分のアタック | 焦点の切り替え、空間認知 | 相手の剣先から有効面の空きへ視線を移し、距離を掴む |
どの局面も、見る・注意する・判断する・動くの流れです。フェンシングの特徴は、この流れが極めて短い時間で、しかも「反応しない」判断を含んで繰り返されることです。速いだけではフェイントに釣られ、遅ければ突かれます。
練習メニュー
1. 光った瞬間の踏み込み(単純反応)
構えの姿勢から、正面のデバイスが光った瞬間にファントしてタッチ。基礎的な反応の速さを測ります。デバイスを剣先の届く距離に置くと、踏み込みの距離感も同時に確認できます。
2. 色で判断:赤はアタック、青はパラッド
赤が光ったら踏み込んでタッチ、青が光ったら下がってパラッドの動作。相手の初動を見て攻めるか守るかを決める、選択反応の課題です。判断の速さと正確さが記録されます。
3. フェイントへの抑制:緑には反応しない
赤と青には反応し、緑が光ったら動かない。反射的に動きたくなるところを抑える課題で、フェイントに釣られない力に直接働きかけます。緑で動いてしまった回数が記録されます。
4. 中心を見たまま周辺に反応
正面のデバイス(相手の剣先に見立てる)を見たまま、上下左右に置いたデバイス(足や肩の動き)の光に反応。剣先と全身を同時に見る周辺視野の課題です(周辺視野を広げるトレーニング)。
5. ストロボグラス+パラッド練習
ストロボグラスをかけてパートナーのアタックをパラッド。断片的な視界から剣先の軌道を予測する練習です(ストロボグラストレーニングとは)。安全のため、防具を着用し、スピードを落とした状態から始めてください。
測定で見るポイント
- 単純反応と選択反応の差:差が大きい選手は判断で時間を使っています。足の速さではなく判断の練習が必要です
- 抑制課題での誤反応:緑で動いてしまう回数が多い選手は、試合でフェイントに釣られる傾向と重なることがあります
- 上下の反応差:高い位置と低い位置への反応差は、防御の苦手なラインを考える材料になります
- 疲労時の変化:連戦を想定し、練習の前後で同じ課題を行って判断の落ち方を見ます
まとめ
フェンシングのビジョントレーニングは、反応の速さと、フェイントに反応しない抑制の両方を鍛えるものです。光った瞬間の踏み込み、色で判断するアタック/パラッド、反応しない課題。速さと正確さの両方を測りながら、既存の練習に組み込んでください。
他の競技:野球/バレーボール。関連記事:反応速度を上げるトレーニング方法。器具はREAXIONシリーズとSTROBE GLASSをご覧ください。
